デジタル化が進む今だからこそ考えたい「手で書く力」
〜手で書くことは、学ぶ姿勢にもつながる〜

学校教育の中でも、タブレットやパソコンなどのデジタル機器を活用する機会が増えています。
デジタル機器は、情報を調べたり、文章を作成したり、学習を効率よく進めたりする上でとても便利な道具です。
私たちも、デジタル機器そのものを否定するつもりはありません。
一方で、長年子ども達を指導してきた中で、私たちが最近気になっているのが「手で書く力」です。
■『書く』という基本的な動作に変化が見られる
例えば、
・鉛筆やシャープペンシル等の筆記用具が正しく持てない
・筆圧の加減がわからない
・一文字ごとの大きさが揃わない
・横一行を真っ直ぐ書くことが難しい
・文字をタテに揃えて書けない
といったことがあります。
また、一文字を書くたびにペン先を離すことをせず、文字と文字が繋がってしまうケースもあります。
一見すると、「字が汚い」というだけに見えるかもしれません。
しかし、私たちが気になっているのは、見た目だけの問題ではありません。
■文字を『正確な形』として捉える力
もう一つ気になるのが、文字そのものの捉え方です。
例えば、
『この文字は、こういう部分からできている』と正確に捉えるのではなく、
「何となくこういう作りだった」
「こんな形をしていた」
「これに似た感じだった」
というように、文字を曖昧なイメージとして捉えていることがあります。
そのため、実際には本来の文字と少し違っていても「大体こんな感じだから大丈夫」と本人は気にしていないことがあります。
一つの文字を正確に見て、形を認識し、自分の手で再現する。
その経験そのものが少なくなっているのではないか、と感じることがあります。
■「自分の字を、自分が読み間違える』という問題
そして、学習指導の中で特に注意したいのが、
自分で書いた文字を、自分自身が読み間違えてしまう というケースです。
例えば数学。
途中式を書くこと自体はできている。
ところが、自分で書いた数字や記号が曖昧なため、それを自分で読み間違えてしまう。
すると、
途中式で数字や記号を読み間違える
▼
間違った数字・記号で次の計算をする
▼
その結果を使って、更に次の計算をする
▼
最後まで間違いを引きずってしまう・・・ということがあります。
本人としては「途中式もきちんと書いた」のです。
それだけに「なぜ答が合わないのだろう?」となってしまいます。
しかし、最初の小さな読み違いが、その後の計算に連鎖していることがあります。
これは非常にもったいないことです!
だからこそ私たちは、「途中式を書きなさい」だけではなく、「あとから自分が読めるように書きなさい」ということも大切にしたいと考えています。

■「自分が読めればいい』だけではない
学校への提出物、作文、申込書、志望理由書など、誰かに読んでもらうために書くものがあります。
そのとき、
「自分が読めるからいい」
「これくらいでいい」
という意識になってしまうことがあります。
しかし、文字は自分だけが読むものではありません。
「これを読む相手がいる」ということを意識することも大切です。
*相手が読みやすいように書く。
*大切な書類なら、普段より丁寧に書く。
*書き終わったら、自分でもう一度確認(読み直し)する。
これは単なる「きれいな字」の問題ではなく、相手を意識する姿勢の問題でもあると思います。

■丁寧に字を書く生徒には、学習にも共通する姿勢がある
そして、私たちが長年、生徒たちを指導してきて感じていることがあります。
丁寧に字を書く生徒は、学習にも丁寧に向き合う生徒が多い ということ。
もちろん、『字がきれいだから学力が高い」と言う単純な話ではありません。
私たちが見ているのは、文字の美しさそのものではなく、丁寧に取り組もうとする姿勢です。
一文字を丁寧に書く。
問題文を最後まで読む。
計算の途中式を省略しない。
自分の答えを見直す。
間違いがあれば、どこで間違えたのかを確認する。
こうした「一つ一つを雑に扱わない姿勢」は、学習の様々な場面に表れます。
だから私たちは「もっときれいな字を書きなさい」と言いたいのではありません。
「丁寧に書くことを大切にしよう」と伝えたいのです。
■丁寧に書くことは、学力を支える一つの力
学力は、知識だけで決まるものではありません。
読んで、考えて、書いて、確認する、そして、間違いがあれば修正する。
その一連の学習を丁寧に積み重ねていくことも大切です。
その意味で、
「書く力」と「学ぶ姿勢」には、深いつながりがある と私たちは考えています。
デジタル機器が当たり前になった現在だからこそ、手書きの価値を改めて考えてみる必要があるのではないでしょうか。
「デジタルか、手書きか」どちらか一方を選ぶということではありません。
デジタルの便利さを活用しながら
・自分の手で書く
・一文字ずつ正確に書く
・自分の書いたものを読み返す
・相手に伝わるように書く
という経験も大切にする。
それが、子ども達の学習を支える土台の一つになると、私たちは考えています。

■丁寧に書くことは、きれいな字を書くためだけではない
・自分の考えを正確に残すため
・自分のミスを防ぐため
・相手にきちんと伝えるため
・物事に丁寧に向き合う姿勢を身に着けるため
志英塾では、これからも「読む・考える・書く」という学習の基本を大切にしていきます。




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